5.乗り物酔い 楽しいドライブのために・・  

1. 乗り物酔いってどうしておこる?

 個人差が大きい乗り物酔いですが、キーワードは「耳」と「バランス」のようです。

イメージアニメ (1) 乗り物酔いのメカニズム
  耳の奥(内耳)に三半規管というバランスをつかさどる器官があります。三半規管の中にあるリンパ液が体の傾きを察知して脳に信号を送り身体のバランスを保っています。

 歩いている時などは歩く速さと同じスピードで景色も動くので、三半規管で察知しているバランス感覚と目で見える景色や体(筋肉)で感じる知覚との調和がとれているのですが、車などに乗っている場合、絶えずリンパ液が揺さぶられる状態にある上、「自分は車の座席でじっとしている」のに「景色がどんどん変わるし体も上下左右に揺れている」という感覚のズレも加わって、体が変調をきたし乗り物酔いがおきてしまうのです。

 個人差がありますが一般的に横揺れより縦揺れの方が酔いやすく(車の左右の揺れは大丈夫でも船の上下の揺れはダメという人がいますよね)、大人より感覚が敏感で頭が不安定な子供のほうがなりやすいと言われています。

 また、乗り物酔いは人間だけのものではなく、犬などにもおこるようです。家族の一員としてかわいいペットをドライブ旅行に連れて行く方も増えてきていますが、車内ではこまめに様子を見てあげてください。


(2) 具体的な要因
 要因も十人十色なのですが、一般的に睡眠不足、空腹、満腹、疲れていた、変な姿勢で乗りつづけたなどの身体的要因、車に乗ることに慣れていない、カーブや揺れの多い道を通った、ガソリンや車内の匂いが嫌い、車内で本やテレビを凝視していて揺れに体を任せていたなどの外的(物理的)要因、自分は乗り物酔いすると思い込んでいる、心配事や不安な事を抱えていたなどの心理的要因などがあげられます。

 個人差が大きく要因も複雑に絡み合う乗り物酔いですが、心身が健康な状態で乗車すれば、ある程度防げることも多いのがおわかりかと思います。楽しいドライブは乗る前から始まっているのです。

2. ドライブ前の準備も肝心

 備えあれば憂いなし。車に乗る前にできることもあるはず。

 地方の名産を味わいにドライブに出かけたら、乗り物酔いで全く食べられなかった・・・などということにならないよう、乗る前にできることはやっておくことも大切です。前項の具体的な要因で示した、身体的、外的(物理的)、心理的な要因を取り除くような準備をすればいいわけです。

 睡眠不足、空腹、満腹、疲労などの身体的要因は、本人が気をつけることによりある程度解消できますね。「前の日、準備に時間がかかって寝不足だー」とか「旅先でご飯を食べるから朝食は食べないで出発しよう」などというのは乗り物酔いしやすい人にとっては禁物。事前にドライブの日程が決まっている場合は数日前から体調管理に注意をしましょう。

  ガソリンや車内の匂いなどの外的(物理的)要因は、ドライバーの方や同行する方が気を配ってあげてください。給油は前日に済ませたり、乗り物酔いしやすい人が車から離れているとき(食事のときや宿泊先にいるときなどなど)に給油をすれば、ある程度ガソリンの匂いを嗅ぐ機会を減らすことができます。車内の匂いは梅雨時のカビ臭さや匂いの強い食品、香水、たばこなどが気になったりします。車内の清掃をしっかり行なっておきましょう。揺れについてはタイヤの空気圧が適正でないと乗り心地が低下し、揺れが増加する原因にもなりますのでガソリンスタンドなどで事前にチェックしておきましょう。

 心理的要因は個人差が大きいので難しい問題ですが、それだけに取り除くことができれば効果も大きいようです。お子さんなどの場合は周囲から「乗り物に弱い」と言われてしまうと必要以上に意識してしまいますので、普段から乗り物酔いを意識させないような配慮が必要でしょう。お母さんの何気ない「大丈夫」の一言が、何よりの薬だったりするものです。大人の場合は自己暗示で克服する方もいますが、過度に意識すると心理的に不安になり逆効果のケースもあります。他の人より乗り物に強くなる必要はないのです。「気分が悪くならない程度に車に慣れればいい」と気楽に考えることも大切です。

消臭スプレー
エアコンからの悪臭もクルマ酔いの一因、事前に消臭剤などを使ってケアしておきましょう。
3. 運転方法でひと工夫

 安全面からも乗り心地の面からも優しい運転を心がけたいですね。

 「我が子は母親が運転すると大丈夫なのに、父親が運転すると気分が悪くなってしまう」ということはありませんか?その時々のお子さんの心理状況や体調なども影響しているのでしょうが、もう一つ気になるのが「運転方法」。ドライバーにとっては気にならない車の揺れが乗り物酔いしやすい人には不快に感じたりするものです。

 ではどのように運転すればよいのでしょうか。「車酔いをさせない運転」という特別な方法があるわけではなく、安全でスムーズな運転を心がければよいのです。急激に発進したり停止したりハンドルを切ったり、小刻みにアクセルを踏み込んだりすると必要以上に頭が揺さぶられて車酔いしやすくなってしまいます。緊急時以外は急激な操作は禁物です。また「このドライバーの運転は危ない、事故を起こすかもしれない」と同乗者が感じると心理的に不安になり車酔いを誘引します。「安全運転」が同乗者にとっての「安心運転」にもなっているのです。


4.

ホントに効くの?・・・様々な対処法
「なるほど」というものから「?」というものまで、様々な対処法を見てみましょう。
  • 降車する
     冗談のようですが、乗車中であれば「乗り物酔い」なのですから乗り物から降りてしまうのが一番です。駐車スペースを見つけて降車し、深呼吸をしたり遠くの景色を眺めたりして気持ちや体調を整えてください。予定を気にして先を急がずに休憩する勇気も大切です。

  • 酔い止めの薬を飲む
     「酔い止め」といえば薬を飲むのが一般的ですね。酔い止めの薬には自律神経を整える成分や胃腸が異常に活動するのを鎮める成分が含まれていて吐き気などを防止する効果があります。お医者さんや薬屋さんにいる薬剤師さんに相談して自分の体に合った薬を探してください。

  • 揺れや加速度に体を慣らす
     即効性は期待できないのですが、効果は大きいと思われます。子供の頃は乗り物酔いをしていたのに大人になったらしなくなった方は多いでしょう。成長するにつれ三半規管などが発達することも理由の一つですが、車に乗る経験が多くなり身体が車の揺れに慣れることにより酔わなくなることがあります。人間は、予期できる動きや過去に経験した動きからの刺激に対しては鈍感になる傾向があるようなので、何度も車に乗れば過度に刺激を感じることが無くなり、乗り物酔いしなくなるのです。ちなみに車内で本やテレビなど一点を見つめていると車酔いしやすいのは、車外を見ていないため揺れの予測がつきにくく、揺れに対する体の準備ができないからです。

  • 車体の中心に近いところに乗る
     車体の中心に近ければ揺れが少なくてすみます。車の前輪と後輪の中間に近い席に座るとよいでしょう。4〜5人乗りの2列シートの車では助手席、3列シートのワゴンタイプの車などは助手席か前から2列目あたりが良いようです。

  • 自分で運転する
     自動車の運転免許をお持ちの方は自分で運転をしてみてはいかがでしょう。ドライバー自身が車酔いになったというのはあまり聞きません。人間は予期できる動きからの刺激に対しては鈍感になる傾向があるというのはさきほど触れましたが、自分で運転すればもちろん自分で操作するわけですから次は車がどう動くか予測がつきます。また運転時は視線を安定させようとしてカーブなどで遠心力に負けないように無意識のうちに頭を動かさないようにしているはずです。その上車の操作に集中していれば同乗しているより余計な考え事をしなくなり酔う不安が減り、車酔いの要因を少なくできます。

  • ツボを刺激する
     手のひらを上に向け、手のひらと手首の間にあるしわから約3センチ(大人の指で約1本半)ひじ側に移動したところに内関(ナイカン)という自律神経の働きを整えるツボがあります。ここに米粒大のビーズや1円玉などを絆創膏で貼り付けてその上から軽く押すと乗り物酔いに効果があると言われています。またカー用品やトラベル用品などを扱うお店でここを刺激するための「酔い止めバンド」を販売していますので、それを利用してもいいでしょう。

  • 車内で楽しむ
     仲のよいお友達との会話や気に入った音楽をきくなど心をリラックスさせるのも効果的。周囲の協力も必要ですが、会話を楽しんでいるうちにいつの間にか到着!なんてことがあれば最高ですね。

  • 暗示
     これは逆効果になる危険性もあるのですが、「私は乗り物酔いしない」と思い込むことや「これを食べる(飲む)と私は酔わない」と自己暗示することで効果がある方もいます。「梅干し」が効くとよく耳にしますが、医学的根拠ははっきりしていないようです。梅干しを食べると口の中や胃の中がスッキリして気分がよくなるという心理的効果が大きいのかもしれません。
     また自分自身で行なうことは出来ないのですが、偽薬(プラシーボ、プラセボともいいます)の暗示効果(錯覚)を利用する方法もあります。乗り物に弱い人に「酔い止めの薬」と言って小麦粉やお菓子のラムネの粒などを渡して飲ませるのです。「酔い止めの薬を飲んだから大丈夫」と自己暗示にかかれば、ある程度の効果が期待できます。薬の副作用が気になるお子さんなどにはよいかもしれませんが、当然小麦粉やラムネに乗り物酔いを抑える薬効はありませんので、それを承知の上で行なわなければなりません。

以上のようにいろいろ対処法を挙げてみましたが、すべての人に100%の効果をもたらす方法はありません。また今回あげた対処法をすべて試せば必ずどれか効果があると断言はできませんし、今回紹介した方法以外にも効果的な対処法があるかもしれません。しかし、「ドライブ」と聞くと酔うのではないかと不安になったり、実際毎回同じように酔ってしまうような方はいくつかお試しになってはいかがでしょうか。


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