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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第26回 世界家電ショーに見る自律自動運転の方向性

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去る2018年1月9日~12日、米国ネバダ州ラスベガス市で「CES2018/世界家電ショー」(以下、CES)が開かれました。1967年から始まったCESは、その名の通り家電における最先端技術をお披露目する場として知られています。1970年代には「ビデオカセットレコーダー」、1980年代には「CDプレーヤー」などが出展され世界中の人々を驚かせました。毎年恒例のイベントは、今やその立ち位置を「家電発表の場」から「最新のIT技術発表の場」へと移行させ、ネット社会との連携を図りながら全世界に対してこれまでにない新しい情報の数々を発信しています。

そうしたなか、ここ10年ほどは自動車関連企業の出展が目立ちます。この先、継続的に何百兆円もの市場が形成される「自律自動運転社会」ではCESで業界の牽引役として名を轟かせることが、のちの企業成長を大きく左右すると言われているだけにどこも真剣勝負で臨んでいます。

昨今のCESでは、世界各国の自動車メーカーから自律自動運転の実証実験車である、いわゆるプロトタイプ車両のお披露目が続いています。たとえば今年のCESでは、トヨタ自動車から次世代型の自動運転システム「Platform 3.0」が公開されました。2017年3月、トヨタは「Platform 2.0」としてドライバーを必要としない自律自動運転「ショーファーモード」のほかに、人が運転操作を行っている際に操作ミスが発生しそうになると自動的に運転操作にシステムを介入させ、危険な状態を遠ざける「ガーディアンモード」という2つの自動運転システムを発表しています。新たなPlatform 3.0では、自車周囲の交通状況を読み取る車両の四隅に配置しているセンサーを小型化し実際の道路環境における整合性を強化しながら、天井に360度が見渡せる光学式カメラを設置し自車周囲の交通環境を正確に、そして広範囲にわたり把握します。

トヨタ自動車「Platform 3.0」搭載車

トヨタ自動車「Platform 3.0」搭載車

またトヨタ自動車は乗用車だけでなく、商用車の世界においても自律自動運転の姿を示しました。「e-Palette Concept」と名付けられたこの車両は、移動や物流、そして物販など多目的に活用できるモビリティサービス専用の電気自動車です。自律自動運転の制御システムのインターフェース(中枢のソフトウェア)を広く開示し、他のシステム会社が開発した自律自動運転を制御するユニットを搭載することができます。これにより、商用車における幅広い自律自動運転技術の普及が早期に見込めます。

日産自動車からは、ドライバーの脳波を測定して運転支援を行う新しい技術「Brain-to-Vehicle」が発表されました。これは、ドライバーが運転操作を行う際に脳の出す「行動準備電位」と呼ばれるものを検出し、ドライバーが操作を開始する前からシステムが操作を開始することで、運転操作の遅れをカバーして思い通りの運転をできるようサポートする運転支援技術です。

日産「Brain-to-Vehicle」搭載車

日産「Brain-to-Vehicle」搭載車

「Brain-to-Vehicle」の開発風景

「Brain-to-Vehicle」の開発風景

「Brain-to-Vehicle」の実走テストの様子

「Brain-to-Vehicle」の実走テストの様子

トヨタ自動車「e-Palette Concept」

「e-Palette Concept」は複数のサービス事業者車両の相互利用や輸送システムサービスの最適化を目指すためのコンセプトモデル。サービス事業者が独自の内装を施した車両での移動中に、同乗者は情報収集やデスクワークなどが行えるため、有意義な移動時間の創造が期待される。車両の全長は4m~7m前後を想定。CESに出展モデルは全長 4.8m/全幅 2.0m/全高 2.25m。

「e-Palette Concept」のシステム概念図 「e-Palette Concept」の考え方

公開日 2018年2月13日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)

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