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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第28回 自律自動運転の世界、日本は今

読者のACCの疑問に回答「自律自動運転の世界、日本は今」(イメージ)

世界中の国と地域で、自律自動運転や運転の自動化に対する技術革新が急速に進んでいます。またその実現に向け、法改正を視野に入れた取り組みも官民一体となって積み重ねられています。日本では内閣府がITS・自動運転に係る国家戦略である「官民ITS構想・ロードマップ」を踏まえた活動を行っており、そのなかで「SIP/戦略的イノベーション創造プログラム」の「SIP-adus/自動走行システム」として各省庁との連携により、高度運転支援技術やその先の自律自動運転社会を目指しています。

最新版である「2017 官民ITS構想・ロードマップ」では、2020年まで/2020年代前半/2025年目処という3段階で自家用車、物流サービス、移動サービスというカテゴリーごとに自律自動運転社会の実用化に向けたシナリオが策定されています。

2018年になり具体的な目標も示されてきました。そこではまず2020年までに、高速道路での「運転の自動化レベル3」実現を想定した乗用車の市販化を目指すことや、過疎地域などの限定区域ではドライバー不在の無人タイプの自律自動運転車両を使った移動サービスを実現することが目標と定められました。さらに物流サービスの世界では、2022年度以降として高速道路におけるトラック隊列走行も事業化のひとつとして掲げられています。

一方、目標を実現するにあたっての課題として、①「法制度の整備」と、②「技術開発」が挙げられています。①では自律自動運転車両の安全基準の策定、道路交通法を含めた交通ルールのありかた、保険制度を含む責任関係の明確化が課題です。②では高精度3次元地図(デジタルマップ)の活用や2017年3月より内閣府が運営を行っている準天頂衛星「みちびき」の活用、さらにはあらゆる走行環境での実証実験の実施が課題です。

こうした課題のほかにも自律自動運転社会の実用化には諸問題が考えられるため、克服には政府が一体となった取り組みが必要です。その克服に向けた開発には、各社が競い合い優れた技術を作り上げていく「競争領域」と、各社間で協力することで開発コスト(人、金、モノ)のムダが排除できる「協調領域」とを上手く分類した手法が用いられています。

自律自動運転社会の早期実用化に向けた取り組みの一例として、経済産業省では協調領域の最大化として自律自動運転の将来像を次のように考えています。まず乗用車などの自家用では、2025年を目処に高速道路における「運転の自動化レベル4」を導入し、物流サービスなどの事業用としては2020年を目処にレベル4車両による移動サービスや無人宅配の実現を想定しています。 こうしたプランの具現化には自動車メーカーによる技術開発は欠かせませんが、現時点での日本の自動車メーカーによる自律自動運転や運転の自動化技術は、その取扱方法であるHMI(Human Machine Interface/人と機械の接点)の研究開発も含め世界屈指のレベルにあります。

また、乗用車だけでなく商用車の分野でも日本はトップランナーとして技術開発を行っています。日本の大手商用車メーカー間では2018年3月19日、協調領域として大型トラックにおけるCACC(ACC最前線「CACCを試してみた」を参照)をはじめとしたITS技術の共同開発が完了したと発表されました。

経済産業省におけるトラックによる隊列走行と無人移動自動走行による移動サービスでは、いずれもドライバー不足に対する解決策のひとつとしても期待されている。出典:経済産業省

経済産業省におけるトラックによる隊列走行と無人移動自動走行による移動サービスでは、いずれもドライバー不足に対する解決策のひとつとしても期待されている。出典:経済産業省

SIP-adusによる沖縄県自動走行バスによる実証実験では磁気マーカーを使って車両を誘導し縁石から20㎝以内の正着(この場合、狙った位置に自動停車すること)を目標に開発が進められている。出典:SIP-adus次世代都市交通WG

SIP-adusによる沖縄県自動走行バスによる実証実験では磁気マーカーを使って車両を誘導し縁石から20㎝以内の正着(この場合、狙った位置に自動停車すること)を目標に開発が進められている。出典:SIP-adus次世代都市交通WG

公開日 2018年03月22日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)

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