雨具を着て自転車に乗ると、聞こえづらい?見えづらい?(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2016年4月5日(火)
テスト場所 世田谷自動車学校
テスト背景 雨天時にはレインコートなどの雨具を着て、自転車を利用する人が少なくないが、雨具を着ると周囲の音が聞こえづらくなったり、フードで視野が狭まる危険性がある。
そこで教習所のコースを使い、雨具の有無で聴力と視野の違いにどの程度の差が出るのかをモニターテストで検証した。
テスト内容

教習所のコースに雨を降らせて行い、車は普通車(ガソリン車)とエンジン音が大きいトラック(ディーゼル車)を用いた。自転車に乗るモニターは30~60代の男女計5名とした。テストでは、スタンドをかけた自転車に乗って後方から近づく車の音に気づいたら旗で合図してもらい、その時の車の位置を計測した。

【テスト項目】 後方から近づく車に気づく距離を雨具(フード付)の有無(晴天時および雨天時)で比較。

晴天時

雨天時

テスト結果

結果は下記グラフのとおりで、多少のばらつきはあったものの、すべてのモニターが雨具着用時のほうが音は聞こえづらく、車の接近に気づきにくかった。
特に普通車の場合、5人中4人が側方を通過するまで車の接近に気づかなかった。唯一気づいたモニターでも、自転車からわずか1.7m手前の位置だった。

【Others】 雨具のフードが 視界をさえぎる

横方向の視線は?

  • 一時停止の交差点などで左右を確認する際、フードの調整機能を使わないと目視しても視界がさえぎられる。
  • 調整機能を使えば、フードが密着して目視が可能となる。
  • フードの一部が透明で視界を確保するものもある。

縦方向の視線は?

  • 信号機を確認する際に、向かい風や速度状況により、濡れないように前傾姿勢になりやすく、フードで信号を見落とす危険性がある。
  • フードで視界がさえぎらないように、フードの調整機能を使って顔に密着させましょう。

まとめ

  • 雨具を着ると、車の接近に気づきにくい。
  • 雨天時は車両のタイヤが水を巻き上げる音やフードに雨が当たる音などで、周囲の音が聞こえづらくなるので、しっかり目視することが大切である。
  • 雨具のフードで視界が狭まる危険性もあるので、調整用のコードやテープで視界をさえぎらないようにすることが大切である。
  • ドライバー側も雨具を着た人が乗る自転車を見たら、速度を落として自転車との間隔を十分に空けるなどいつも以上に慎重な運転をする。

東北公益文科大学 神田教授 (自転車運転者の 認知・行動特性を研究) のコメント

「雨天時は雨音で車の走行音がかき消されますし、フードをかぶっていると音がさえぎられるうえ、フードに雨粒が当たる音でさらに周囲の音が聞こえづらくなります。雨天時は路肩の水たまりを避けるなど進路変更が多くなりがちですが、音に頼らず後方をしっかり目視することが大切です。ただ、フードを調整していないと正確に後方確認ができず、ふらつきの原因にもなるので十分注意しましょう。 」