冠水路走行テスト(JAFユーザーテスト)

テスト条件

実施日 2010年4月8日(木)
検証内容 冠水路走行の問題点を検証するテスト。 集中豪雨などでアンダーパス(道路の下をくぐる構造になっている立体交差)が冠水した場合を想定し、車両が冠水路を走りきれるかを検証。

アンダーパスが冠水した場合を想定し、前後にスロープを設けたコースを造った。水平部分は30m。

試験車両(セダンタイプ) トヨタ・マークⅡ(2,000cc)
冠水路水深:60cm
走行速度:時速10km
試験車両(SUVタイプ) 日産・エクストレイル(2,000cc)
冠水路水深:60cm
走行速度:時速30km

テスト結果表

水深 車種 速度 走行の可否
30cm セダン 時速10km
SUV 時速10km
セダン 時速30km
SUV 時速30km
水深 車種 速度 走行の可否
60cm セダン 時速10km ×
SUV 時速10km
セダン 時速30km
SUV 時速30km ×

テスト結果ーセダンタイプ

水深30cm

速度 時速10km

時速10kmでは、フロントバンパーの上部に水が接する状態で、フロントグリル部分から直接水が入ることはなかった。

速度 時速30km

同じ30cmの水深でも、時速30kmでは、巻き上げる水の量が多くなり、エンジンルームに多量の水が入ることがわかった。

水深60cm

速度 時速10km

水深60cmではフロントガラスの下端まで水をかぶった。それでもすぐには止まらず、しばらく走ることはできたが、登りのスロープに差し掛かった31m地点でエンジンが止まった。

参考動画

テスト結果ーSUVタイプ

水深30cm

速度 時速10kmおよび30km
水深30cmの場合は、時速10km、30kmとも走りきることができた。

水深60cm

速度 時速10km

水深60cmの場合、セダンでは時速10kmでも走りきれなかったが、エンジン位置の高いSUVは走りきることができた。

速度 時速30km

時速30kmではエンジン下部からも大量の水が入り込み、わずか10mでエンジンが止まった。浸水時の衝撃も大きく、車体が一瞬浮き上がってハンドルが取られた。

参考動画

ポイント

  • エンジンが停止した原因は、エアインテーク(空気の取り入れ口)を通してエンジン内部に水が入ったためと考えられる。
  • 同じ水深でも、速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水が入りやすくなる。
  • 速度を落とせばある程度まで走行できる可能性はあるが、他の要因でエンジンが止まることもあるので、走りきれるとは限らない。
  • 実際の冠水路では水深も水の中の様子もわからないため、冠水路に遭遇したら安易に進入せず、迂回することを考えた方がよい。