雪道での旋回テスト(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2017年2月13日(月)
テスト場所 交通科学総合研究所(北海道士別市)
テスト背景 雪がほとんど降らない地域では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを持たないユーザーが多い。
そのため、降雪時の山道などのカーブをノーマルタイヤで走行する車によるスリップ事故等が発生している。
そこで、タイヤ種類別に圧雪路で旋回テストを行った。
テスト内容

圧雪路の旋回コース(半径20m)を時速15kmから周回し、速度を時速5kmずつ上げ、カーブに沿って曲がれるか、車の挙動を4種類のタイヤで検証した。

  • 圧雪路とは、雪が踏み固められた状態の路面
  • 車両は前輪駆動のコンパクトカー
  • タイヤのグリップ力(摩擦力)を比較するため、横滑り防止装置(カーブなどで車が不安定な状態になったとき、自動的にブレーキやエンジン出力を制御して安定させる装置)を解除して実施
  • 安全を考慮して、最高速度は「ノーマルタイヤ」と「ノーマルタイヤ+チェーン」が時速30km、「スタッドレスタイヤ」と「オールシーズンタイヤ」が時速40kmに設定。

①ノーマルタイヤ
雪道以外で使用する一般的なタイヤ
(夏タイヤ)

②スタッドレスタイヤ
特殊なゴムと溝をもつ
雪道・凍結路用のタイヤ

③オールシーズンタイヤ
降雪時など、季節を問わず
走行できるタイヤ

④ノーマルタイヤ+チェーン
テストで使用したのは、
一般的な非金属タイプ

テスト結果

結果は上記のとおり。

  • ノーマルタイヤは、時速30kmでパイロンに沿って走ることができず、大きく走行ラインが膨らんだ。
  • スタッドレスタイヤは、時速40kmまでパイロンから極端に離れず、安定して走ることができたが、過信は禁物。
  • チェーン装着車は、前輪と後輪のグリップバランスの差が大きく、時速30kmで急に後輪が滑り出し、前輪を軸にスピンしてしまった。

ノーマルタイヤの走行軌跡(時速30km)

ノーマルタイヤ+チェーンの走行軌跡(時速30km)

まとめ

  • 降雪時、ノーマルタイヤではカーブを曲がりきれず、対向車線にはみ出したり、路外に逸脱するおそれがあるので、スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着する。
  • チェーンは基本的に車両の駆動輪のみに装着するため、グリップ力(摩擦力)のバランスが前後のタイヤで大きく異なるので、速度を出していると、カーブでスピンすることもあるので注意が必要である。
  • 日陰となっているカーブでは、一見、路面に雪がないように見えても凍結していることもあるので、カーブの手前で十分に減速することが重要である。