バイクの音を楽しむ『名車図鑑』9:Kawasaki 650-W1スペシャル
650-W1スペシャルオーナーのバイクストーリー
若かりし頃に乗っていたのは、ホンダCS90、CB72など。その後はクルマに目覚め、しばらくバイクから離れていたが、友人から一時的に預かったW1の存在で状況はガラリと変わった。
「ちょっと乗らせてもらったら、一気に虜になってしまいました。英車のようなスタイリングも好みでしたが、W独特の轟くような排気音にヤラれましたね。それ以来乗り続けて30年以上経ちました。」
購入した当初は状態が悪かったため、すぐには乗らず2年間はパーツ集めに明け暮れた。リプロダクション(再生産)パーツに取り替えた箇所もあるが、ほとんどが当時の純正パーツでレストアされている。
「昔はあちこちフリマに行ってパーツを買いあさったり、仲間に分けてもらっていましたが、今は新たにパーツがつくられているので問題なく乗ることができるんです。最近では若い人もけっこう乗ってますよ。」
じつはオーナー、W1愛好会の会長であり、初期型のW2TTやW1-SなどWシリーズを6台も所有している。バイク同士を交換したり、知り合いから譲り受けたり不思議とオーナーのもとに集まってくるそうだ。
「もともと古いバイクなのでしばらく放置されていたモデルは調子が悪いですね。不具合が出ると乗るのを諦めてしまう人もいますが、それはもったいない。とことん乗り込んで悪いところを全部洗い出して、浮き彫りになったところを直す。古いバイクだけに構造もシンプルだから整備もそれほど大変じゃない。Wは今でも多くのライダーに愛されている車両だから色々な情報も揃っていますしね。」
年に2回、Wのミーティングを開催し続けて30年以上。最高で240台も集結したというから驚きである。参加者がいつまでもWに乗り続けられるようにサポートし続けている彼の情熱は、次の世代にも受け継がれていくに違いない。
英国車を思わせるディテール
イギリスのトライアンフやBSAなどにも採用されていたキャブトンマフラーは、古き良き時代の象徴でもある。
エンジンの造形美
通称”Yカバー”とも呼ばれるクランクケース部分と、直立ツインエンジンのまとまりは普遍的な美しさがある。
メッキパーツを多数採用
Wは、メッキで構成されたパーツが多い。全体に施されたメッキと、レッドカラーのバランスが好きだという。最近のバイクでここまでメッキパーツを多用しているものは無い。
エンジン音を視聴する
エンジン形式:空冷4ストロークOHV 並列2気筒
総排気量:624㎤
全長×全幅×全高:2135mm×865mm×1100mm
車体重量:199kg(乾燥重量)
最大出力:47ps
最大トルク:5.4kg-m