バイクの音を楽しむ『名車図鑑』21：DUCATI　900MHR

900MHRオーナーのバイクストーリー

「もともと僕には、初期型の信仰がありまして」

そう言って照れくさそうに笑うオーナー。そんな彼が所有するのは、往年のレーサー、マイクヘイルウッドの優勝記念限定レプリカである900MHRだ。

「オークションでたまたま見つけて格安で買いました。1980年型のモデルのモデルが珍しくて、手に入れたくなったんです」

世界全体での生産台数は、たったの547台。市場価格は200万円だという。

「イタリアのバイクは世間的には壊れるイメージがあると思いますが、丈夫ですよ。ただ、マフラーは純正でも直管なのでうるさいです。早朝からツーリングに出たいときなんかは近所に気を遣いますね。暖機もせずに走り出します。さっさと立ち去らないと」そのあたりは、古いバイクを持つオーナー共通の悩みだろうか…。

「最近はこんな感じのカウルがまた20代の若い子達に流行ってますよね。彼らから”カフェレーサーですよね”と言われますけど、これはかつてのレーサーレプリカです。ハーレーのようにゆっくりドコドコ走りますけど、アクセルを開ければスピードも出ます。低速域も粘るし、２ストのような吹け上がりと4ストの粘り強さを併せ持っていて、一台で二度おいしい。走らせて楽しいバイクだと思います」

初期好き、限定好き、耐久レース好き。オーナーである彼のたくさんの「好き」が詰まった最愛のマシンなのだ。