バイクの音を楽しむ『名車図鑑』17:HONDA NSR250R
NSR250Rオーナーのバイクストーリー
「ヘルメットの中で、にやけちゃうんですよね」
その感覚を今この瞬間、思い出すかのようにオーナーは語る。
「たまたま知り合いの家でほこりまみれになっていたのを貰ったんですけどね。レストアしたら立派に乗れるようになりました。外装も泥だらけだったのが、洗ってコンパウンドで磨いたらそこそこ綺麗になって」
そこそこどころか、とても外に置きっぱなしだったとは思えないほどの美しい見た目である。ツーリング先で、年配の男性に声をかけられることも多いという。
「休みの日に箱根なんかでひとっ走りした後に休憩していると”おっNSRじゃん”とか”俺も昔、乗ってたよ”とかみんな懐かしそうに声かけてくれるんですよね。そういうのが嬉しい」
それもそのはず、NSR250といえば、90年代に一世を風靡した2スト250スポーツの代表格だ。90年代、バイクブームの中で青春を過ごした世代には必ず響く。
「とにかく軽くて自由自在。まるで手足の一部のような感覚を味わわせてくれるんです。スポーツバイクにありがちな、目が三角になる感じは全くない。それを知っていて手に入れたわけではないけれど、乗ってみたら本当に楽しくて」
個人的に、最新のバイクに試乗することも多いというが…。
「それでもやっぱり僕は、NSRが最高だと思います。青臭い話ですけど、世界一のバイクだと思っています」
維持するのは大変なんですけどね、と彼は苦笑する。純正パーツが手に入らない為、外装を傷つけるわけにはいかないのだ。
「NSRはきちんと整備して乗れば、今でも不安なく乗れる素晴らしいバイクです。最近はNSRの専門店も増えてきましたし、多少調子が悪くてもそういったショップ等で修理すれば蘇ります。オーナーの皆さんには、ぜひ手放さずに乗ってほしいですね」
と同じNSRオーナーに向けて、心強いエールを送ってくれた。
ホンダ車の誇り、ガルアーム
シリーズの中ではMC21からの改良点であるホンダ独自のガルアーム。合理的なオーナーにとっては整備性の良さもポイントなのだとか。
90年代のかおり漂う丸目2灯
いかにも90年代らしい丸目2灯のテールデザインも、オーナーにとっての魅力のひとつ。後ろから愛車に近づく時に、思わずにんまりしてしまうそうだ。
スポーツ走行に便利な小物入れ
何も身に着けずとにかく純粋に走りを楽しみたいので、ちょっとした小物を入れられるリア部のスペースはありがたい。
エンジン音を視聴する
エンジン形式:水冷2ストロークV型2気筒
総排気量:249㎠
全長×全幅×全高:1975mm×655mm×1060mm
車体重量:132kg
最大出力:45ps
最大トルク:3.7kg-m