バイクの音を楽しむ『名車図鑑』3:YAMAHA SR500S
SR500Sオーナーのバイクストーリー
「35年越しの片想いが実りました」
少年のような表情ではにかみながら、彼はそう語った。指先でそっと触れる、右ハンドルのデコンプレバー。SR500を手に入れるのがずっと夢だった。
「学生時代に初めて見かけたSRが、すごく欲しくなって。でも当時は高くて手が出なかったんです。仕方なく他のバイクに乗っていましたが、SRが欲しい気持ちは35年間ずっと変わらなかった」
しかし、奇跡の出会いは突然訪れた。100台限定生産、92年式のSR500S。希少な特別色のミヤビマルーンで厚く塗られたタンクのツヤが、比類なき存在感を醸し出す。
「去年たまたま近くのショップで程度の良いのを見つけて、欲しい気持ちがまたすごく強くなって。運命の出会いだと思いました。他の人の手に渡るのが嫌だったので、すぐ買って。中型免許しか持っていなかったのですが、とりあえず買ってから大型免許を取りに行ったんです」 400ではなく、500が良かった。そのためだけに教習所に通った。愛車に対する彼の一途な気持ちは、手入れの行き届いた実車を見てもひしひしと伝わる。
「改造は絶対にしません。錆びてもなるべく、純正パーツを探すつもりです」
そのままで、SR。そのままだから、SR。愛おしそうにマイバイクを眺める彼の眼差しには、35年間の想いが込められていた。
速度警告灯とヘッドライト
80kmで点灯するどこかノスタルジックな速度警告灯と、スペシャルエディションのみタンクと同色に揃えられたヘッドライト。
希少なフロントドラムブレーキ
SR誕生以来40年の歴史の中で、1985年~2000年の15年間のみユーザーの声に応え、敢えて時代に逆行する形で採用されたドラムブレーキ。
バックスタイルのステップ
少し後ろに配置された、カフェスタイル風のバックステップ。スタイリングもさることながら、ポジション的にもしっくりきているのだとか。
エンジン音を視聴する
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒
総排気量:499㎠
全長×全幅×全高:2085mm×735mm×1080mm
車体重量:170kg
最大出力:32ps
最大トルク:3.7kgf・m