「内気循環」と「外気導入」どちらがいいの? 走行した際の車内環境の違いについて検証

ニュースリリース

本部広報2019-07
2019年05月21日

JAF(一般社団法人日本自動車連盟 会長 矢代隆義)は、ドライブ中の車内環境について検証を行い、その結果を5月17日(金)にホームページに公開しました。
今回の実験は車の空調を「内気循環」にするか「外気導入」にするか悩むドライバーは意外と多いのでは、と考え、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)、酸素(O2)などの濃度を計測できる「空気環境測定器」(右下写真)を車内に設置し以下のテストを実施しました。

テスト車(日産 セレナ)

空気環境測定器

■テスト:高速道路や郊外・山道、市街地を走行した際の車内環境は?

車両を2台用意しそれぞれの車両に4人が乗車。空調を「内気循環」と「外気導入」に設定して高速道路や郊外・山道、市街地などを各1時間走行し、車内の環境について検証を行いました。また、あわせて花粉の量についても車内にプレパラートを置き、付着した花粉の量も調査しました。なお走行の条件については下記のとおりです。

<条件>

  • 2台のテスト車両のエアコンフィルターは新品に交換
  • エアコンは「オート」26℃設定
  • 窓をすべて閉め、乗降もなし

結果:内気循環ではCO2が最大で6,770PPMに!

外気導入でCO2の濃度はつねに1,000ppm前後でしたが、内気循環では最大で6,770ppm(市街地)でした。一方、O2の濃度もCO2ほど差はありませんでしたが、内気循環の方が最大1%近く低下しました。また、乗車した人の中には、眠気や軽い頭痛を感じる人もいました。

走行した道路別の結果は以下のとおりです。

■高速道路

高速道路では、内気循環で走行した車のCO2の濃度が最大で4,520ppmでした。また、外気導入で走行した車においては、トンネル内で走行していると、排ガスの影響もあり一時的にCO2やCOの数値が高くなることもありました。

■郊外・山道

郊外・山道では、内気循環で走行した車のCO2の濃度が最大で4,730ppmとなりました。

■市街地

市街地では、内気循環で走行した車のCO2の濃度が最大で6,770ppmとなり、外気導入と比べて約5.5倍の数値となりました。

東北大学大学院医工学教授の永富良一氏によると「いくつかの研究報告によるとCO2の濃度が3,000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに、眠気や頭痛を訴える人が増加します。短時間では問題がないという結果もあるので一概には言えませんが、CO2が増えるほど影響が大きくなるのは明らかなので、運転中はできるだけ外気導入にするか、最低でも1時間に1回は換気するといいでしょう。」

市街地を内気循環で走行した場合、CO2の濃度が最大で6,770ppmとなり、疲労感の増加や注意力の低下などの症状が現われるとされる3,000ppmの約2倍とかなり高い数字が計測されました。安全運転のためにも定期的な休憩を取り、車内の空気の入れ替えを心がけましょう。

花粉量の調査については、花粉を確認することはできましたが微量でした。最近のエアコンフィルターはある程度花粉を除去できるため、外気導入でも花粉を心配する必要はあまりなく、むしろ衣類に付着した花粉や乗降時に車内に付着した花粉を除去した方が重要だと言えるでしょう。



■詳細:JAFユーザーテスト「ドライブ中、空調は「内気循環」「外気導入」どちらがいいの?」
資料編: http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/usertest/temperature/detail7.htm