
実験3:冷却水が足りないとどうなる?


冷却装置の中心的役割を果たす冷却水(ロング・ライフ・クーラント:LLC)が不足した場合にどうなるのか……。このテストでは、規定量6.3リットルから約3分の1に相当する2リットルの冷却液を抜き取ってテストを行いました。LLCは、かろうじて循環できる量です。


規定量の3分の1に相当する2リットルのLLCを抜き取ってテストを行った。
6分間のアイドリング・テストでは、開始温度が低いせいもあって、大きな温度変化はありませんでした。しかし、続く5分間の低速連続走行後の2〜3分経過時にはエンジンオイルの温度が95.6℃から102.2℃へと6.6℃上昇。一方、水温も98.1℃から101.3℃と、3.2℃上昇しました。 空気が混じった状態でLLCが循環すると冷却効果が低下します。そのため、シリンダー周囲の温度が上昇し、さらにLLCが部分的に沸騰したため冷却が不十分になり、エンジンオイルの顕著な温度上昇に現れたものと思われます。
さらに3分間、負荷をかけてテストを続行すると、LLCの温度は103.4℃、エンジンオイルは102.5℃と逆転しました。これはLLCの方が、エンジンオイルより敏感に温度上昇に反応した結果といえます。 実際の市街地走行の条件はさらに厳しく、このような状態で走り続ければ確実にオーバーヒートに至り、ガスケット破損やエンジンの焼き付きにつながります。また、水温センサーの位置や不足している量によっては、水温計で異常を感知できないので注意したいところです。
冷却液不足での温度変化
[冷却液2リットル不足状態、アイドリング、Pレンジで計測] (単位:℃)
| 経過時間 |
冷却水温度 |
エンジンオイル
温度 |
ATF温度 |
| 開始時 |
74.2 |
77.7 |
73.9 |
| 1分 |
80.9 |
79.6 |
76.2 |
| 2分 |
85.1 |
82.1 |
76.4 |
| 3分 |
85.8 |
83.7 |
76.4 |
| 4分 |
86.5 |
83.6 |
77.1 |
| 5分 |
85.6 |
81.8 |
76.8 |
| 6分 |
86.1 |
83.5 |
76.9 |
| 低速で5分間連続走行後、1分間走行するごとに計測してみると…… |
| ↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
| 1分 |
96.1 |
94.6 |
83.4 |
| 2分 |
98.1 |
95.6 |
83.2 |
| 3分 |
101.3 |
102.2 |
83.4 |
| |
| 6分 |
103.4 |
102.5 |
89.5 |
※テスト車における参考値なので、メーカーや車種によって数値などは異なります。