JAFストーリー

2011年3月号 Episode 71 崖っぷち

中村秀悦隊員。39歳。青森支部。

平野修二隊員。千葉支部。ふだん心がけていることは?「作業の説明は心がけてます。あとはとにかく、事故がなけれぱいいと思ってます」

千葉県/水野恵司さん

水野さんは昨年夏に車を買い替えた。勤務先の病院では周辺に職員用駐車場を何か所か確保してあり、水野さんは新車購入と同時に、駐車場の場所を変更してもらった。というのは、以前駐車していた場所は人通りが多く、ボディにいたずらされたことがあるからだ。

新しい駐車場は住宅街の一角にある。台地を造成した高低差がある住宅地の角地にあたる。道路から数メートル見上げたところにある。

新車購入から3か月過ぎた11月1日。いつものように朝7時40分ごろ駐車場に到着した。ゆるい坂道を上がり駐車場に入り、そのまま左側の駐車スペースに進入。

水野さんは出勤も早く、退社するのも遅めなので、駐車場にはいつも車が少ない。出るときにはバックがしやすいため、駐車スペースには前方から入る。

そして――。

それからおよそ30分後。JAF千葉支部の平野修二隊員が現場に駆けつけた。水野さんから救援要請を受けたのだ。そのときのことを平野隊員はよく覚えている。 「前輪はもう、ほぼ落ちてるような状況で、フェンスがななめになって、フェンスのおかげで下に落ちなかったような感じですね」

数メートル下に道路があり、崖っぷちから車両の前方が突き出した状態で水野さんの車は止まっていたのである。

「駐車場のフェンスがけっこう高い場所にあり、ブロックの破片とかが下にバラバラに落ちてしまっているような状態でした。車はフェンスで止まってたので、すぐ落ちるという感じではなかったんです。ちょうど8時過ぎだったもんですから、あの道は学生の通学路になっているので、まず下の道路にカラーコーンを立てて、歩行者にわかりやすいように囲ってしまいました。二次災害がいちばん怖いので……」

その作業のあと、平野隊員は車輪の下に輪止めをし、レッカー車とワイヤーでつなぎ、それ以上前方に落ちないように安全確保した。牽引したときにボディのどこが当たるのかを水野さんにも確認してもらいながら厳密に調べた。車止めのコンクリートを車体の下から撤去した。それから車体の下に角材を入れ、ようやくレッカー装置で牽引したのである。

「確実に安全に上げることがいちばんです。できる限りやって、ボディを傷つけないで上がればそれがいちばんいいので……ゆっくり状態を見ながら、当たらないかどうか確認しつつ上げていくような感じですね。作業自体は30分くらいだったんですけど、下をホウキで掃いたりとか……路上にブロックが散らかってるんで、それをホウキで掃いて……あとは点検ですね。ボディ下まわりに破損した部分がないかどうかとか、オイルなどの漏れがないかを点検しました」

現場到着から1時間後、平野隊員はまたつぎの現場へと向かった。

(文=松尾伸弥  写真=両角栄介)

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