お客様の声
〜JAF ストーリー〜

75

2011年8・9月号

キー閉じ込み

大丈夫ですよ

お客様
仁平井美枝さん - 東京都

6年前。旦那さんの乗る車がトラブルに遭遇した。

「高井戸のトンネル手前で煙があがってしまったんです」

そのときにJAFを呼んで、旦那さんはとても感激したそうだ。

「レッカー移動してもらって、いい会社だって感激して帰ってきたんですよ。結局、その車を買い替えて、3か月乗ったんですけども・・・・・・そのあと亡くなりました」

突然だった。風邪だと思っていた熱が下がらず、そのまま・・・・・・。

それから6年、美枝さんは買い換えた車を夫の形見だと思って大切に乗り続けている。

今年の1月8日。多摩センターで買い物をした。買ったものを駐車場の車に置き、またべつの店へ。

「小さなバッグをいつも持っていたんですけど、蓋が開いてたんでしょうね。おっちょこちょいなんです」

車のキーが見当たらなかった。ビルの管理事務所にも連絡したが届いていない。車のトランクかもしれない、とも思った。

「ふっと、ああそうだ、主人もJAFを呼んだって思って。まず鍵を開けていただこうって思ったんです」

美枝さんにとっては、それがはじめてのJAFへの救援コールだった。

多摩センターの立体駐車場は天井が低くレッカー車は入れない。勝又毅隊員はサービスカーでやってきた。

「すぐ開けていただきました。丁寧でした。鍵穴のまわり全部テープ貼って。あんなことするとは思わなかった……」

結局、トランクにもなかった。やはりどこかで落としたようだ。

そのときの仁平井さんの動転ぶりは、勝又隊員もよく覚えている。

「顔面蒼白とまではいきませんけども、雰囲気的にそういう感じでした」

キーを紛失したということは、拾った誰かが悪用する可能性もある。立体駐車場にはレッカー車が入れないため牽引できない。

車を動かすにはスペアキーを使うしかないのだった。

「勝又さんが、スペアキーはどこにありますかって……自宅ですっていうことで……申し上げにくいことを私が言ったんです、自宅に戻ればスペアキーがあるので、お待ちいただいてもよろしいですかって」

午後7時を過ぎていた。その日、勝又隊員は7時までのシフトだった。彼は指令に連絡して事情を話した。

業務終了のはずの勝又隊員。

「そしたら、勝又さんは……」

仁平井さんは、そのとき、涙が出そうだったと言う。

「大丈夫ですよ。心配しないでください。ここで待ってますから。そう言ってくださったんです」

自宅まで戻りスペアキーを持って帰ってくる。けっして短い時間ではなかった。

「サービスカーのなかで待ってました。あと駐車場をうろうろして。若干、不審者だったかもしれません」

勝又隊員は、そんなふうに軽く冗談を言って、笑った。
(文=松尾伸弥 写真=両角栄介)

駆けつけた隊員

勝又毅 隊員 42歳

東京支部。
「やっぱりお客様第一ですから、お客様に重きを置いて当然。こちらのペースで進める仕事ではないと思います」

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