JAFストーリー

Episode 89 モットー

千葉晴治 51歳。古川基地。

千葉晴治 51歳。古川基地。
「JAFに入って21年です。その前はいろんな仕事をやりました。いまは、困ってるひとを助けることに、ほんとにやりがいを感じてます」

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松永保信さんは、以前は大手企業のレストランに勤めていたが、腰の具合が悪くなってリタイア。いまは系列会社で働いている。

「それで、腰の療養をかねて、あちこち温泉をまわっているところなんです。仕事もありますんで休み休み……でも年に4〜5回は行きます。家内とふたりで。カミさんの骨休めっていうのもありますしね」

昨年10月の三連休には東北に旅することにした。

「中尊寺には以前も行ってたんですけど、ふたりともぜんぜん記憶になくて、世界遺産になったということもあってね、じゃあ、紅葉の前に、たぶん空いてるだろうからということで行ってみました」

秋保(あきう)温泉に1泊して東北自動車道を北上。

「長者原サービスエリアを出たあたりで、カミさんが、なんか焦げくさいよ、おかしいって言って。で、ちょっとまぁ振動みたいなのもあって、路肩に止めたんですよ」

見ると、左前輪がぺちゃんこになっていた。スペアタイヤは積んでいない。パンク補修材はあるが、バースト状態のパンクには使えない。すぐにJAFに電話した。

「東北道って路肩が広いんで、完全に左に寄せて……天気がよかったんで、田園風景を見ながら、のんびりとね」
やってきたのは千葉晴(はる)治(じ)隊員。すぐに車積載車に積んだ。

「載せる間も、お客さまには、安全なところに待ってていただいたっていうかたちです」

千葉隊員は、細かく解説してくれる。

最寄りのタイヤ販売専門店に向かったのだが、車積載車のなかでも千葉隊員があれこれと話してくれたのを、松永さんは覚えている。

「いろいろ親切にね、注意点だとか……事故が起きないように、どこで待つのがいいのかとか、そういう話をしながら、ほんとに親切なかたでね」

タイヤショップに到着したが、あいにく同じタイヤの在庫はなかった。

「たまたまですね……」

千葉隊員は残念そうだ。
「たまたま、運悪く、夏タイヤと冬タイヤの入れ替え時期で、もう夏タイヤがなくて、スタッドレスタイヤしか置いてないということで……」

ほかの店にも電話して調べてみたが、すぐに装着できるのは、そのスタッドレスタイヤしかなさそうだった。

「お客さんといっしょにカウンターまで行って、私が全部話をして、夏タイヤがなければ冬タイヤでもいいですかって……あと値段とか、お客さまの了解を得るまでおつきあいするというか、お世話するっていうか、そういったサービスというか、そこまですることをモットーとしてやっております」

千葉隊員は、タイヤの交換作業がすべて終わったところで、ようやく帰りじたくをはじめたのである。

「旅を続けていただきたいということを、やっぱり頭に置いてますね。どうしても私どもで対応できないものは仕方ないとして、対応できるのであれば助けたいという気持ちでおります」

千葉隊員は、私は話し好きなもんで、と、笑った。

(写真・文=松尾伸弥)

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