お客様の声
〜JAF ストーリー〜

93

2013年6月号

エンジン

カミナリ、ピカピカ

お客様
松坂和江さん(42) - 奈良県

昨年の9月3日、奈良市内に大雨警報が出た。カミナリも鳴った。松坂和江さんは、ふだんは仕事帰りに、学童保育で預けている娘さんを迎えに行くのだが、その日は、旦那さんが早く仕事が終わるというので、車で迎えに行ってもらうことにした。

「めちゃめちゃ大雨だったので、私も迎えにきてということで、駅前まで来てもらったんですね。ただ、奈良駅ってわりと坂道になってて、斜面になってるんで、じゃじゃ降りで洪水みたいになってるんですね。ザブザブで」

近鉄奈良駅前の大通り。コンビニの前で待ち合わせをした。旦那さんとの、いつもの待ち合わせポイントだ。車が来た。娘はすでに乗っていた。

「ああ、やっと乗れたわって言って、あとは帰るだけだねってバンッてドア閉めて、そしたら旦那が、あれあれとか言って、どうしたのって訊いたら、かからないって」

旦那さんはエンジンルームが浸水したと思った。セルもまわらない。ハザードランプが点滅、エアコンが作動しているが、エンジンは無音のままだ。

すぐにJAFを呼んだ。旦那さんは何度か救援依頼をしたことがあるはず、なのに、

「パニクってるんです。こんな時間に来てくれるかなぁゆうて、いや、こんな時間って……遅くもないし」

夕方、6時ごろ。

「私がかけて旦那に代わったんやったかな……えーと、旦那がかけたと思いますね。で、1時間くらいかかるとゆうことやったんで、まずは、子どもをトイレに行かせて、コンビニでサラダ巻きかなんか買ってきて、車のなかで食べてたんですね」

エアコンも止めた。蒸し暑い車内。雨も激しかったが、カミナリもすごかった。

「ピカピカ、花火みたいに、ピッカンピッカンして……旦那は、レッカー車で行くとしたら3人は乗れないから、タクシーで帰ってもらわなあかんかもって言ってて……」

30分くらいして、細川浩司隊員がやってきた。

「ちょっと点検しますんでって言って、その稲光のなかを……ザザ降りでね、しかも、ピカピカピカ、いつ落ちるかわからんやろうに……私と子どもはなかにいて、旦那は傘をさしてたと思うんですけど、隊員のかたは合羽で……」

細川隊員はバッテリーが弱っていると判断した。ジャンピングでエンジンを始動した。

「雨に打たれながら、カミナリのなかで……しかもね、うれしかったのが、途中で止まったらあかんから、家までお送りしますっていうことで、護衛車のように、うしろから来てくださったんですね。すごい安心できたし……」

はじめてJAFの作業を見た和江さんは、隊員の手ぎわのよさと、うしろから見守りながらついてきてくれることに感動した。

「見届けるって、素晴らしいなと思って……車のなかで子どもと私は、JAFってすごい、ジャフジャフって、JAFコールしてました」

前を行く車のなかで、母と子が声援していたのを、もちろん、細川隊員は知らない。
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

細川浩司 隊員 41歳

奈良基地。
「大雨の救援のときは、なるべく雨がエンジンルームに直接入らないように気をつけています」

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