JAFストーリー

Episode 99 真心

日本憲孝 隊員 35歳。東広島基地。

日本憲孝 隊員 35歳。
東広島基地。
名前が話題になることが多い。「覚えてもらえるのはいいのですが、目立つ名前なんで……よかったり悪かったりです」

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福岡県/河村逸郎さん62歳 翠子さん75歳

河村翠子さんは、九州に住んでいる。ずっと、雪化粧の富士山を見たいと思っていた。

「主人が、若いときに見た富士山はすごかったすごかったと言うもんですから……」

これまで、2度、夫婦で出かけてみたが、あいにく、雪の富士山を見ていない。

昨年の2月、また、ふたりは富士山を目指した。高速道路も使わず、宿の予約もせず。

「いや、もう、行き当たりばったりの旅です」

西広島バイパスを走り、サービスエリアに立ち寄った。出ようとしたらエンジンがかからなかった。

「ちょうどサービスエリアにガソリンスタンドがあったから、いろいろ見てもらったら、バッテリーやろうゆうことで、バッテリーを替えてもらったんです」

ところが、広島市街地を抜けたころ、メーターパネルの警告灯がすべて点灯した。

「このまま止まったら大変ちゅうことで。とにかく、道路からはずれたところに入って止めたんです。すぐにJAFに電話して……それで来てもらったんです」

やってきたのは、 日本 ヒノモト 憲孝隊員。問診と点検の結果、ファンベルトのゆるみであると特定し、調整した。

「ただ、ベルトのほうもけっこう痛んでたので、その場で調整をしても、またベルトが切れたりとかゆるんだりして、また止まる可能性があるので、そういう説明をさせていただきました」

作業中のふたりの会話から、富士山を目指す夫婦であることを察した日本隊員は、その夜は広島に宿泊して、翌朝、ディーラーに持ちこんでベルトを交換することを勧めた。

「作業してもらってる途中で、適当なホテルに、予約だけは入れたんですよ。それで、作業が終わって、今度は、そのホテルまで、日本さんがね、ずっと誘導してくださったんですよ。私のうしろについてきてくださいって」

ホテルには駐車場がなく、提携駐車場を案内された。日本隊員はそこまで誘導してくれた。しかも……。

「お好み焼きのおいしい店とか教えてくれたんです。いろいろね。観光案内やないけど。それから、最寄りのディーラーに電話をしておきますから、明日行ってくださいねっていうことでね、手配までしてもらって……」

ふたりは、日本隊員の対応にとても感動した。

「真心を感じるんですよ。仕事じゃなくて、ほんとに、自分の内側から出とる真心」

と、逸郎さんは言った。

ふたりは、翌朝、ディーラーに寄ってファンベルトを交換したが、富士山行きはあきらめて小倉に戻った。

「けど、ちっとも残念やなかった。気持ちがよかった。親切に、ほんと、忘れられんくらい。いいかたやったなと思います」

翠子さんは「私たちの感動編」と書いて投稿してくれた。

日本隊員は恐縮する。

「やっぱり夫婦でそろって、年取って、ゆっくり車で旅行っていうのも、うらやましいと思いました」

心が、触れあった。

(写真・文=松尾伸弥)

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