お客様の声
〜JAF ストーリー〜

102

2014年5月号

冠水

大規模冠水

お客様
吉田和生さん - 愛知県

昨年の9月4日。台風の影響で、東海地方は記録的な豪雨に見舞われた。名古屋市内でも、複数の地点で1時間に100ミリを超える雨が降った。

マッサージ師の仕事をしている吉田和生さんは、その日の夕方、市内の福祉施設で患者さんに施術したあと、少し離れた場所に書類を届けるために車に乗った。

「けっこう、道路に水が溜まってたんです。道路の真ん中の高いところがピチャピチャ……溜まっちゃったなぁっていうくらい」

結局、あとで後悔することになるのだが、災害に遭遇する前に「危険」に気づくことはとてもむずかしい。大通りを少し入ったあたりで、雨水はみるみる増え、その地域全体が冠水しはじめたのである。

「どんどんどんどん深くなって……海のなかを走ってるような感じでした」

対向車線にトラックが走ってくると、車体全体が船のように揺れた。アクセルを踏み続けているのに、車は、やがて止まってしまった。

「2、3回、エンジンをかけようとしてもだめだから、即、JAFですよ」

船木進也隊員は、そのとき、三重県四日市基地の勤務だった。夕方出勤したときには、ほかの隊員が全員出動中で、忙しくなる予感はあった。

「名古屋のほうが多忙なので、車積載車に乗って名古屋に行ってくれという指示が出まして……それで、そうですね、四日市を出たのが夜の8時半くらいじゃなかったかと思うんです」

まず、三重県と愛知県の県境あたりの救援に向かった。

「1件めは、ガード下で、車が屋根までつかってる状態でした。水が引かないと作業ができない状況で、そのつぎに行ったのが、吉田さんの救援でした」

吉田さんは、JAFに電話したあと、折り返し、救援要請が多くて時間が読めないとの連絡を受けた。あたりには同じように水につかった車が数台あり、ドライバーたちは、近くのマンションの1階部分に避難しているような状態だった。

「靴とかもグチョグチョで、すっごい情けないですよ。しかも、行かなきゃよかったんだから、そこに。ずっと施設の前にいて、待ってるっていう選択もあったのに、書類を届けに行っちゃったわけだから……なんで来ちゃったんだろうっていう……そういうのもあるわけですよ」

船木隊員から「いまから向かいます」という電話をもらったころには、雨もやんで、水が引きはじめた。ドライバーたちが助け合って車を押し、道路脇に移動させた。

そして、船木隊員が来た。

「もう、神様ですよ、ほんとに。声をあげて泣きたい気分でした」

車積載車の助手席で待っているようにうながされ、わずか10分ほどで車は積まれた。そのまま自宅に戻り、いつもの駐車スペースにおさまった。

「こんなのは、もうごめんですね。危険を感じたら逃げる。ふだんから、高いところを覚えておくのが大切ですよ、コンビニの駐車場とか」

吉田さんの教訓である。
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

船木進也 隊員 37歳

現在は鈴鹿基地勤務。
「水につかったら、車のエンジンをかけるのは、エンジンを破損させる恐れがあり、危険です」

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