JAFストーリー

Episode105 元旦の朝

濱本顕博 隊員 46歳。松江基地。

濱本顕博隊員 46歳
松江基地。
「山陰は、やさしいお客さまが多いので、甘えないように自分を戒めています」 CMで有名になった「ベタ踏み坂(江島大橋)」前にて

島根県・陰山晴行さん(77歳)、美智子さん(71歳)

 

陰山さんのお宅を訪問すると、まず、晴行さんにこう恐縮された。

「JAFストーリーのページを読んでると、とんでもないところで車が動かなくなったゆうのばっかり出てますから、こんな、家の前でやったのなんか、取材には来られないと思ってました」

陰山さんご夫妻は、今年の正月に、自宅にJAFを呼んだのである。

「昔から元日は、氏神さんやお寺に新年の挨拶に行って、それから、おもだった親戚に行きますわね。子どもたちもみんな来るし、大社に参ったり、予定も入っとって、暇じゃないゆう感じですわ」

 大社というのは近所にある出雲大社だ。とにかく、予定がつまって忙しい正月がスタートする元旦の朝、美智子さんがエンジンをかけようとしたところ、かからなかった。

「振動がすごくて、バタバタゆうか、すごい音がしました。ダァッと揺れてるような音がして」

そのときは、まだ家にいた息子さんの車で送ってもらったが、そのあとの親戚まわりなど、車が動かないと不便きわまりない。ということでJAFに電話した。濱本顕博隊員がやってきた。

「おそらくですね、セルモーターのギアがうまく噛んでない状態だったと思います。バッテリーが弱ってると、ガチガチとかガリガリとか音がするんです。救援依頼されるかたも、よくそう表現されます」

美智子さんの話を聞いたあと、テスターで確認すると、やはりバッテリーの電気容量はかなり不足していた。

「バッテリーがねぇ、年数がきとる言われたかなぁ」

と、美智子さんは振り返る。正月休みでディーラーも休み。しかも、なにかと忙しい正月である。

「明日もあさっても、車を使いたいなぁと思ってたから、お父さんと相談して、バッテリーの交換はできますかと聞いたんです」

美智子さんがJAFに電話したとき、オペレーターは車種を聞いていた。濱本隊員は適合するバッテリーを積んでいたので、すぐに交換することができた。

「対応ができるものであれば、交換にいたるかどうかはべつにしても、できるだけ事前準備はしていきます」

しかも、バッテリー交換後、濱本隊員は、車内の時計合わせなどの設定もやり直してくれたのである。

「ささいなことかもしれませんけど、ありがたかったですよ、ほんとに」

と、美智子さん。

「それに、寒かったからね。それで家のなかに入っててください、寒いから、私やりますからって、ぼくら入っとったんですわ」

晴行さんは、そういう心遣いに感心した。

  美智子さんは、さりげないやさしさに心動かされた。 「とにかくね、気持ちのいいかただったですね。JAFさんの、隊員さんに対する指導みたいなのが行き届いてるのかなぁとかね。そんなことを感じましたけどねぇ」 それを伝えると、濱本隊員、恐縮しまくりだった。

(写真・文=松尾伸弥)

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