お客様の声
〜JAF ストーリー〜

108

2014年12月号

タイヤ

目的地まで

お客様
小笠原千里さん(45) - 香川県

 昨年12月30日、高松市に住む小笠原さん一家は、家族4人で長野県の斑尾までスキー旅行にでかけた。

 車は大型ミニバン。旦那さんが、スキー好きの娘のために買ったのだそうだ。長女の高校受験が終わり、来年は次女が高校受験。そして、また長女の大学受験が続く。

「上の子が大学行っちゃったらきっと、もう、ねぇ、いっしょに旅行なんてしなくなるだろうと思って」

 最後の家族旅行になるだろうという思いがあった。それで「すごい奮発して」斑尾のホテルを予約。準備万端、30日の夜、一家は出発したのだ。

「遠いから、途中休みながらで、31日のお昼までにたどり着けばいいなっていう感じで……夜の10時くらいにここを出たんです」

 淡路島から明石海峡大橋を通り、名神高速へ。東名高速道路に入る直前、どこからともなく異音がした。

「バリバリバリって感じの音がして、最初、ヘリコプターが飛んでる音かなと」

 しばらくして、どうやらそれは、自分たちの車が発している音だと気づく。

 つぎのサービスエリアまで距離があると判断して、すぐに小牧インターチェンジで高速道を降りて、車を止めた。

 それは、とても的確な判断だったと、今回救援に駆けつけた河村英典隊員は言う。

「最悪の場合、タイヤがはずれて、うしろに飛んでました」

 左後輪を止めるナットが2個はずれ、しかもハブボルトが折れていた。スタッドレスタイヤに交換した旦那さんが、左後輪のナットだけ、うっかり締めつけ忘れていたらしい。

「トルク管理っていうのは、ぼくらもとても慎重にやります。車種によって違うんです」

 トルクとは締めつける強さのことで、数値で決められている。ゆるいのはもちろん、締めすぎも禁物だそうだ。

「残ってるボルトだけで、スキー場まで行けますかねって言ったら、河村さんが、ぜったいやめてくださいって」

 スペアタイヤに交換したり、残っているナットを締めればなんとかなるかもしれないと思っていたのに、危険すぎると河村隊員は忠告した。

「隊員さんに言われて、これ、中止になったら、とくに下の子になんて説明すればいいんだろうって思って。それがいちばん心配で。すごい楽しみにしてたから、うわぁ、泣くかなとか思って」

 河村隊員は、まず、24時間営業のレンタカー店を紹介した。が、年末年始の時期であいている車はなかった。

「とにかく、旅を続けていただきたいというのが、ありましたね」

 と、河村隊員。結局、尾張一宮駅まで車を運び、駐車場に車を止めて、列車で斑尾まで行くことを提案したのだ。車は、正月明けに、改めてディーラーに修理を依頼する。

「電車のなかで、河村さんがいなかったら、この方法を思いつかなかったよねって話をして……ほんとに、途中から旅行のプロみたいな対応をしてもらったなと。でも、そういうのができるというのがね、すごいなと思って」

 家族4人の旅は、そして、貴重な思い出になった。
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

河村英典 隊員 34歳

春日井基地。
「投稿を読んで、大切なご旅行だったと知り驚きました。旅を続けていただけたので、ほんとによかったと思っています」

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