JAFストーリー

Episode111 関空の駐車場で

西野秀聡隊員 37歳。りんくう基地。

西野秀聡 隊員 37歳
りんくう基地。
「関空のトラブルで多いのは、バッテリーあがりです。ルームランプの消し忘れとか。数日の駐車になることもあるので、気をつけてください」

Episode111 和歌山県●奥野貴志さん・52歳

昨年の4月17日朝7時ごろ。数か月前に購入した中古の軽自動車で、奧野貴志さんは、奥さんとふたりで関西国際空港に向かった。結婚25年めの記念で沖縄旅行に出かけるためだ。飛行機の出発時間は8時55分。関空には何度も行っている。

「JAFに入ってちょうど30年ですね。5月で切り替えだから、5月でやめてしまおうと、退会しますゆう電話をかけてたんですよ」

 関空に向かう車のなかでは「いつものように」口喧嘩。「昔の夫婦旅行での問題をほじくり返してグチる嫁はん」と貴志さんはおっしゃるが、どうやら、そういうふうに仲のよいご夫婦らしい。

「駐車場について、空いてるところに車を入れて、アホかッとか言いながらドアをバタンと閉めたら……」

 リモコンキーは旅行中に紛失してはいけないと思い家に置いてきた。スペアキーを使っていたのだが、それを車内に挿したまま、ドアをロック。

 荷物はすべて出したあとだった。ところが、止めたスペースは契約駐車専用。警備員に聞いたところ、車を移動するように指示された。

「これはもうJAFさんしかないゆうことで……」

 電話しつつ、奥さんには搭乗手続きをするためにカウンターへ行ってもらった。

 西野秀聡隊員は、基地で指令を受けた。

「けど、作業指示が表示されるタブレット端末に、会員番号とかお名前とかの情報が入ってなかったんです」

 通常、受付時点でオペレーターが会員情報を確認する。だが、依頼者が混乱していたり、慌てている場合は、隊員が現場で聞くことになる。そのぶん時間がかかる。西野隊員は、関空連絡橋を渡りながら作業をイメージしていた。

「鍵開けの作業は、現場にさえちゃんと到着できれば、1分で終わるなと思ったんです。でも、そこで名前を聞いて端末に入力してとか、そういう作業で時間かかるのいややと思ってね。お客さんは、急いではるし」

 西野隊員は改めて受付センターに連絡。会員情報を事前に聞いて、入力作業を終えておくように依頼した。

「JAFさんが来られたのが8時40分くらいやったと思うんですよ。そんで、すぐ解錠して、サインだけして出たんです。でも、車をまた動かさなきゃなんない。駐車場はむっちゃ遠いところしか空いてない。なんとか一般駐車場に入れて……そこでもう10分切ってたと思うんです」

 奥さんに搭乗口を聞いて、貴志さんは駆けた。

「駐車場のいちばんはしっこから全力疾走して、もう、4月に汗だらけで」

 飛行機には、なんとか間に合った。離陸の4分前だったらしい。

「ぜったい間に合わん思てましたもん。これだけスピーディにやってもらえて……隊員さんの顔? そんなん見る余裕なかったですね」

 と、貴志さんは苦笑する。

「旅行から帰って、これはもうぜったい継続しとかなあかんゆうことで、すぐさまJAF退会手続きを取りやめる連絡をしたしだいです」

(写真・文=松尾伸弥)

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