JAFストーリー

Episode112 亀を池に

坂本宜夫隊員 32歳。岡山基地。

坂本宜夫 隊員 32歳
岡山基地。
「ぼくも車が好きなんで、車を大切にされているお客さまには、長く乗っていただけるようにサポートしていきたいです」

Episode112 岡山県●塩入康恵さん・61歳

 86年製のスポーツクーペである。『頭文字D』という漫画で有名になったその車を、塩入康恵さんは、25年前に購入した。勤めていた会社の若い女の子が乗っていて「かっこいいなぁ」と思ったそうだ。その後、中古の専門店で見かけ、何台も検討して「いちばん錆がないなって思う」のを買った。

「走ってる実感を得られるって言いますか、生意気なんですけど、自分の手足の延長になって動いてくれるっていう感じでしょうか。ガンダムスーツみたいな」

 峠を攻めているわけではない。のんびりと景色を楽しみながら走るのが好きだそうだ。絶対手放すつもりはないらしい。

 そんな康恵さんには大学生の息子がいる。卒論で亀の生態について書くのだそうだ。息子の研究を手伝って、亀の捕獲のために、近所の溜池に行ったことがある。

「ドーム型の網を池の中に沈めておくと、何時間か後に入ってて獲れるってわけです」

 息子は亀の体重やサイズなどのデータをとり、しばらく研究室の水槽に入れたあと、マイクロチップを埋めこんで、また同じ池に帰しにいく。

 昨年の7月7日。朝から雨。康恵さんは息子を乗せて、夜の8時くらいに、4つの洗濯ネットに亀を数匹ずつ入れて、家を出た。4つめの池に到着したのが夜の10時過ぎ。

「ぬかるんでるっていう意識はなくて、獲りにいったときのように、タッタラタッタッターって、車で坂道を降りちゃったわけです」

 坂を降りて、池に亀を帰した。切り返して、さて帰ろうとしたが、泥だらけの坂でスリップして車があがらない。

「途中までくるとキュルキュルいって。いちばん重たい、お坊ちゃまを降ろして、キュルキュル、4回か、5回か、トライしたんです」

 でも、だめ。すぐにJAFを呼んだ。あたりは住宅街。坂の下にある池だけが広く暗い。救援を待ちつつ、康恵さんは坂の上まで出て、車がくるたびに懐中電灯を振った。

 そこへ坂本宜夫隊員が到着。

「最初は、車が見えなかったんです。この下ですって言われて、歩いていってからですね。古い車だけど、すごいきれいで、大事にされとるなって、そのときに思いました」

 車道からけん引しようにも、ウインチのワイヤの長さが足りず、レッカー車をバックで坂道に進入させた。

「隊員さんが、事前に説明してくださって。引っぱりあげている途中で、滑りやすいので、いろいろ注意する必要があるとか」

 その細かな説明と坂本隊員の語り口が、康恵さんを安心させた。けん引するためのワイヤをかけるフックも一部錆びていて、坂本隊員には心配だった。

「レッカー車も滑るようなぬかるみで、ちょっと危なかったですね。リモコンでウインチを操作して、少しずつ引いて、そのたびに車輪止めをかけながら、あげていきました」

「秒速何センチ……すごくゆっくり。そのゆっくりさが、ありがたかったです」

 まさに亀のように、クーペは坂をあがったのである。

(写真・文=松尾伸弥)

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