お客様の声
〜JAF ストーリー〜

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2015年7月号

バッテリー

お大師さん

お客様
杉本暁美さん(67) - 徳島県

 四国に住んでいるからといって、誰もが八十八か所めぐりを体験しているわけでは、もちろんない。

「歩き遍路のひとがようけおいでるから、飴とかジュースとか、あげることはありますけどね。お接待ちゅうて、徳島の文化ですよね」

 お接待はなじみがあるけれども、自分で巡礼しようとは思わなかった、と、杉本暁美さんはおっしゃる。

「平成20年に主人が亡くなって、それで行ったのが最初です」

 暁美さんは、マイクロバスで、区切り打ちと呼ばれる方法でまわった。

「多いときは1日で10か所くらいまわります。愛媛に行くときやったら、4時くらいに起きて。ほとんど日帰りで、高知の足摺岬のほうに行くときはだけは、足摺で1泊……」

「先達」と呼ばれる案内役に導かれ、杉本さんは1巡めを終えた。そして、昨年から2巡めに挑んでいる。

「平成26年が霊場開創1200年なんですよ。27年の5月31日まで、納経帳に記念のスタンプ押して、赤札のお姿がもらえるんよって、聞いたんです」

 そう誘ってくれる仲間がいて、いっしょにまわることにしたのである。

 そんな巡礼のある日。今年2月4日。朝6時。待ち合わせ場所に行くために自宅前でエンジンをかけようとした。

「ウンともスンとも。1日前に乗っとんですよ。ちゃんと乗って家まで帰ってきたのに」

 ディーラーでの点検時に、バッテリーが弱っていると担当者が言っていたのを思い出したが、動かないものは仕方ない。仲間に電話した。

「私は行けんから、もう、お参りにいってって言うたんですよ。そやけど、せっかくいままでいっしょに参ってきたんやから、いっしょに行こうゆうて、わざわざ迎えにきてくれたんですよ」

 おかげで、無事、お参りすることができて、夜7時くらいに帰ってきた。翌日は、友だちと会う約束があった。JAFに電話して、翌朝来てもらえるように予約をした。

 翌朝、篠原稜平隊員がやってきた。昨年入社の新人。まだレッカー車に乗れず、バン型サービスカーで軽作業をこなす。バッテリーをチェックしたところ、劣化していると判断。とりあえずジャンピングスタートでエンジンをかけた。

「行った先でエンジンかけっぱなしっていうわけにもいかんし、また呼ぶのも悪いからって言うたら、新しいバッテリー持ってますよって」

 暁美さんは、JAF隊員がバッテリーを販売していることを知らなかった。

「ほな、取り替えてって言って、できましたって、いともかんたんに……ああ、よかったって思ったんですよ。仲間が迎えにきてくれたし、明くる日出かけたいからって言ったら、JAFの隊員さんが約束の時間に来てくれたし。バッテリーも交換できたし」

 暁美さんは、四国巡礼をして思うようになった。

「背中にお大師さんがついてくれてるから、安心って感じ。いままで信心してなかったけど、どこかで助けてくれよんやなぁと思ってます」
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

篠原稜平 隊員 21歳

徳島基地。
「ほんとに、JAFストーリーに載るようなことは、やってないです、まだ」

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