お客様の声
〜JAF ストーリー〜

118

2015年12月号

乗り上げ

コンビニの駐車場

お客様
池上栄子さん - 長野県

池上栄子さんは、その日、仕事が休みだったので家にいた。少しばかりの買い物を思い出し、できたばかりのコンビニに車で出かけた。昨年の11月1日。午後7時半ごろ。本人の記憶では、路肩に雪が少し残っていて、はらはらと雪が舞っていた。
 そのコンビニは、以前あった場所から信号ひとつぶんほど南に移動して新規開店していた。まだ2度くらいしか行ったことがない。駐車場がとても広い。店の前を通り過ぎてしまいそうになって、あわててハンドルを切った。

「しまった、通りこしたと思って切ったら、あ、こんなところに、そうだ縁石があったんじゃんと思って」
 がっくんと前輪が縁石を乗りこえて、そのまま底面が縁石に接触した。前輪と後輪が浮きあがった状態になった。
「もう、スパッと、はまってしまったので、こりゃだめだと……しかも携帯は忘れてるし、こりゃ仕方ないと」
 以前働いていたスーパーマーケットが400メートルほど先にある。
「サービスカウンターのところで電話を貸してもらえるなと。それを思い出して、そうそう、そこにしようと思って」
 コンビニで電話を借りることは思いつかなかった。
「もう、ほら、パニクってるから。電話かけなきゃなんないのに、みたいな、しかも携帯忘れてるし、みたいな」
 スーパーからJAFに電話を入れると30分ほどかかると言われた。
「じゃあ、ゆっくりと、歩いていけば間に合うなって。こっちは、もう、走っていってくたびれてるんで」

 指令を受けた林昇司隊員は、前の作業が終わり、すぐに現場に向かった。
 道路からコンビニの駐車場に入るところに、歩道をふさぐように縁石に乗りあげた車があった。が、あたりには誰もいない。林隊員は、池上さんの車に違いないと判断し、周囲にカラーコーンを置くなどの安全措置をした。
 その後、コンビニ店内に入って作業の許可を得つつ、話を聞いていないか確認してみた。が、コンビニの店員はなにも知らないようだった。
 林隊員は、登録されている池上さんの自宅電話番号に連絡してみた。が、家のひともなにも知らなかった。

 戻ってきた池上さんは、隊員がいたので少々驚いた。
「おっとっと、もうついてると思って」
 林隊員は「いま来たところですから」と笑顔を浮かべ、すぐに状況を確認し、作業を開始した。
「縁石に当たっている部分を引きずれば、車が損傷してしまいます。ジャッキアップしまして、乗りあげているタイヤの下に角材を入れて、車の干渉を完全になくしたうえで、ウインチで引っぱりながら、引き出し作業をしました」
「もうスムーズで、ほんとに、さすがJAFと思って」

 池上さんは、あとでコンビニの店員と話したそうだ。
「すでに何人か同じように縁石に乗りあげてますって言われました。じゃあ、私がはじめてじゃなかったのねって、ちょっと安心したりして」
 急ハンドル注意である。
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

林昇司 隊員 36歳

松本基地。
「自分の家族とか友人がトラブルに遭ったと想像して、できるだけ、お客さまの目線に立って作業することを心がけています」

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