お客様の声
〜JAF ストーリー〜

125

2016年8・9月号

窓ガラス

基地にて

お客様
山下禎三さん(62)、幸子さん(55) - 千葉県

山下禎三さんと幸子さんは、昨年の8月3日に、信州にドライブに出かけた。2泊3日の予定で、松本と蓼科にホテルを予約した。
 中央自動車道に入ってすぐ。八王子ジャンクションを過ぎたあたりで、突然―。

「バシッていうすごい音がしたんです」

 飛び石だろうか。フロントガラスの右下隅に500円硬貨くらいの白いくぼみができて、そこから助手席のほうに亀裂が伸びている。

 禎三さんは動揺しながらも、スピードを保ち、相模湖東インターで高速をおりた。空き地に停車し、ディーラーに電話したが、あいにく休業日だった。JAF会員であることを思い出し、電話してみた。

「担当に変わりますって言っていただいて、まずそこで、これこれこのくらいの大きさのって、話したんです。フロントガラスは二重構造なので飛び散ることはないけど、スピードを出さないようにというアドバイスをもらって、また中央高速に戻ったんです。このまま帰るのはもったいないし、なんとかまわりたいって気持ちもあって……松本まで行くだけ行ってみようと」

 亀裂の先端に、幸子さんが、口紅で印をつけた。走っているうちに、どんどん亀裂は伸びてくる。幸子さんは、パニックになりそうだった。

「安曇野にまわろうとかいう気持ちでいたんですけど、ふたりしてなえちゃってて、どうするんだみたいなところで、松本インターをおりたら、JAFの看板があったんです」
 JAF松本基地である。禎三さんは迷わず、飛びこんだ。

「事務所に入っていって、すみません、見ていただきたいんですって。そしたら、どうしたんですかって、わあっと」
 4人くらいの隊員たちが外に出て禎三さんの車を囲んだ。
「これは交換したほうがいいって話になって」

 旅の途中にフロントガラスの交換など可能だろうか。
「そしたら、ちょっと待ってくださいって言って、隊員のかたが、すぐに手配できるかどうか、ガラス屋さんに電話をしてくれたんです」
 基地の近くにある自動車ガラス専門店だ。ちょうどその日の部材発注に間に合うぎりぎりの時間だった。

「それで、お客さまに、いまなら間に合いますが、どうしますかって。そしたら、とにかく行ってみるって……」
 対応したひとり、綱嶋佑太隊員の話だ。インターチェンジのすぐ近くということもあり、ふだんから、JAFの看板を見て駆けこんでくるドライバーも多いそうだ。隊員たちは対応に慣れていた。

「隊員さんが、わざわざ、ナビに、そのガラス店の場所を入れてくれて……」
 禎三さん夫妻は、ガラス店に向かった。なんと、翌日の朝には、フロントガラスは新品に交換されていたのである。
「安曇野のガラスの美術館に行ってガラス製品を購入するはずでしたが、フロントガラスになりました」

 禎三さんが編集部に送ってくれた手紙には、そう書かれていた。とても不安そうだった奥さんを気にかけていた隊員たちは、そのフレーズに、心をなごませた。
(写真・文=松尾伸弥)

駆けつけた隊員

左から萩原貴志隊員と綱嶋佑太隊員

松本基地。
「私は夜勤明けで、訓練中だったんです」と萩原隊員。綱嶋隊員は「奥さんがすごく不安がってらして、よく覚えています」

このページのトップへ