JAFストーリー

Episode127 テスト走行

綱崎邦浩隊員 51歳。西神基地。

綱崎邦浩 隊員 51歳
西神基地。
「ふつうの路上で、車を動かして元の位置に戻ってくるなんて、なかなかできないですよ。広いところで、ほんまにラッキーでした」

Episode127  大阪府●竹内初代さん・59歳

茨木市在住の竹内初代さんは、昨年12月、ご主人の運転する車で、兵庫県の明石にお墓参りに行った。
「こちらを出たのが朝の8時くらいでした。最近、阪神高速が混んでるので、この日も、1時間の予定だったのが、1時間半くらいかかって……」

  しかも、大阪方面に向かう反対車線が大渋滞。
「帰りは高速に乗れないね」
  そんな会話をした。途中、初代さんは、車のどこかから異音がするのを聞いた。
「横のほうからシャラシャラシャラって聞こえて、気持ち悪いなと思ってて……」

  しかし、その音は運転している旦那さんには聞こえないようだった。明石に着いて墓参りをすませ、お昼ご飯を食べ、帰りは高速に乗らないで国道2号を行くことにした。
「景色がいいんです。海を見たいがために下道を行くこともあるんですけど……そしたら、いよいよ、おかしくなってきたんですね」
  シャラシャラという異音は、ますます大きくなっていく。

「主人も、これはおかしいって言いだして、須磨のところで広いスペースがあったんで、そこにすぐに入って……」
  バスの転回場所のようなところだった。そこに止まってJAFに電話を入れた。しばらくすると、レッカー車に乗ってふたりの隊員が現れた。
「たまたまなんですけど、推進課の課員と同乗の日やったんですよ。年に1回、あるかないか……」
  と、綱崎邦浩隊員。
「お客さんが止まってはったところが、ものすごく広いんです。だから、ラッキーだったんですよね」

  ボンネットを開けてエンジンまわりを調べてみたが、問題はなかった。つぎに、タイヤ周辺をチェックした。
「フェンダーのところに泥よけがあるんですけどね、それが、はずれとったんです。ああ、これだろうと……」
  ガムテープで補強した。
  初代さんが感心したのは、そのあとだ。

「念のためか、走ってくれはったんですよね。JAFさんもたぶん、納得してなかったから、走ってくれたんだと思うんですけど……」
  ひとりが助手席に乗り、窓を全開にし、広いスペースでテスト走行を繰り返す隊員の姿は、初代さんには実に頼もしく見えた。
「まだ鳴ってるみたいなんで、つぎ、ホイールを締めてみようかってちょっと締めたら、ぐらぐらやったんですよ」
  左前輪のホイールナットが、すべてゆるんでいたのである。それが異音の原因だった。
「あれ以上走っとったら、危なかったです。はずれますね、タイヤが……」
  と、綱崎隊員。ゆるんだ原因はわからないが、危険な状態だった。すべてのタイヤのナットを締め直した。

「ピカイチでした。もう一度、お会いしたいくらい」
  これまで車を点検してくれたひとたちのなかでベストだと、初代さんは何度も言った。

「最後に、迷いながら、缶コーヒーをさしあげたら……ちょうど飲みたかったんですって、言ってくれて。ねぇ、何倍にも光って見えちゃって、すごい感じよくて」

(写真・文=松尾伸弥)

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