JAFストーリー

Episode134 求さん

小林求隊員 48歳。豊中南基地。

小林求 隊員 48歳
豊中南基地。
「その名前、なんて読むんですかって、おっしゃっていたのは覚えています」

Episode134 大阪府●直田みどりさん・55歳

昨年7月のある休日。直田みどりさんは、買い物に出かけようと、マンション3階にある駐車場まで行き、車の右前輪がパンクしていることに気づいた。車を購入したときに、スペアタイヤの代わりにパンク応急修理キットが付属しているのは知っていた。それを使って、いつか自分でパンク修理をしてやろうと思っていた。

  幼いころ、お父さんがディーラーに勤めていたこともあり、車の助手席に乗るのも好きだったし、お父さんが車の修理をしているのを眺めるのも好きだった。
「ちょっと男の子っぽいところはありましたね」
  と、みどりさんは自己分析する。

  なので、このとき、すぐに応急修理キットを取り出し、説明書を読み、付属の工具でタイヤバルブのキャップやコアをはずし、白い補修液を入れてみた。そのあとでコンプレッサーで空気を送りこむと、みるみるタイヤがもとに戻る。
「電気でブーっていって、小さいのにすごいパワーで、タイヤがどんどんパンってなるんですよ」
  あっけないほど、かんたんだった。ところが―。

「コンプレッサーをペッとはずしたら、シューって抜けちゃったんですよ。え? って思って、もう1回したんですよ」
  3回、みどりさんは試してみたが、空気は抜け続けた。

「これは何回やっても無理やなって思って、JAFさん呼んだんです」
  オペレーターに暑いので部屋で待っているように言われた。みどりさんは、若干、落ちこんでいた。
「最初はふつうのパンクやと思ってたのが、なんか私、とんでもないことしたのかもしれないと思って、すごいヘコんでたんですよ」
  予定よりずいぶんと早く小林求隊員がやってきた。
「でもね。小林さんは、ひとりでチャレンジするのって、すごく偉いですよって誉めてくれたんです」
  みどりさんは、とてもうれしかった。小林隊員も覚えている。
「あんまりいらっしゃらないですよね、ご自身で修理するなんて」

  駐車場には重量オーバーでレッカー車が入れず、小林隊員は駐車場でタイヤをはずし、タイヤを持って階段を降りていった。空気が抜けてしまった原因は、みどりさんがバルブコアを装着しなかったことだった。単純なミスだ。
「パンクの原因は、クギでした。穴が開いていたので、タイヤの表面から修理しました」

「早くてびっくりしてたら、けどねって、中に入れた補修液を取りのぞかないとだめだから、なるべく早くディーラーさんに行って、見てもらってくださいねって」
  そのあとすぐ、ディーラーに行った。充填した補修液を取りのぞき、再度パンク応急修理キットを購入して、5,000円弱の出費。もう二度と自分でパンク修理はしないと宣言するみどりさん。

「隊員さんのお名前がね、小林求さんっていうかたで、JAF向きの名前だなぁって。求(もとむ)さんって、すごいJAFらしいですよね。これ、すごいオチやなぁって思って……」

(写真・文=松尾伸弥)

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