オーバーヒートの原因:冷却水不足(マイカー点検ノート トラブル対処法)

冷却水(ロング・ライフ・クーラント:LLC)は、名前のとおり、エンジン内部を冷やすものとして必要不可欠なものです。冷却水が不足すると正常に冷却されなくなり、エンジンが異常高温になってしまいます。冷却水の点検は法律でユーザーに義務付けられており、比較的簡単に実施できます。

予防法

原因

冷却水はどこから漏れる?

冷却水(ロング・ライフ・クーラント:LLC)の漏れやすい箇所には、「ラジエター本体」「ラジエターホース」「ヒーターホース」「ウォーターポンプ」などがあります。

ラジエター本体は、走行中に石などが当たって穴が空くことがあります。ラジエターホースやヒーターホースなどのホース類は、ゴムの劣化によってひび割れが発生することがあります。また、ウォーターポンプからは、回転部のガタによって水漏れが発生することがあります。

駐車中に冷却水が漏れた場合は、クルマの下に液だまりができることがあるのでクルマの下回りのチェックも必要です。エアコンからでる水と間違えがちですが、LLCには赤・青・緑などの色が付いており、特有の臭いもあります。走行中に漏れたLLCの異臭がする場合もありますが、濃度が薄くなっていたり、クルマ自体も車内の気密性が高くなっているので臭いで気づくケースは少ないようです。

対処法

水温計が高くなっていたら……

エンジンが異常高温になると、その症状は第一に水温計に現われます。水温計の針がHマークに至らない範囲であっても、Hマーク手前の目盛り付近まで水温が上がっているような場合はオーバーヒート気味です。この段階で対処し水温が下がれば、シリンダーガスケット破損やエンジンの焼き付きなどの深刻な事態に至らずに済むこともあります。水温計の針がHマークを超える場合は、より深刻なオーバーヒート状態です。いずれにしても、早い対処がクルマのダメージを防ぐポイントです。

機能解説

エンジンの冷却システムとは?

オーバーヒートを防ぐだけでなく、エンジンが本来の性能を発揮できる温度を維持しています。

クルマのエンジンは、内部に冷却水を循環させることで冷却しています。ウォーターポンプによって冷却水を循環し、エンジン内で熱せられた冷却水はラジエターで冷やされます。
また、冷却水を適温に維持するために、サーモスタットとラジエターファンがあります。サーモスタットは冷却水の循環を調節し、ラジエターファンはラジエターに強制的に風を流すことで冷却水を冷やしています。

冷却水とは? イメージ冷却水(ロング・ライフ・クーラント:LLC)はただの水ではありません。

冷却水は、エンジン冷却システムになくてはならないものですが、求められる性能条件は主に2つあります。

ひとつは、不凍性です。クルマは、冬季の寒冷地での使用で、氷点下の温度にさらされます。その時に冷却水が凍ってしまうと、体積が膨張してラジエター内部やエンジンの破損につながります。

2つめは、防錆性です。冷却水は、エンジン内を循環しています。仮に冷却水が真水ですと、冷却水が循環する部分で使われている金属部品が錆びて循環を妨げ、冷却効果を低下させてしまいます。

この不凍性と防錆性を兼ね備えたものがロング・ライフ・クーラント(LLC)です。市販されているLLCには、水で薄めて使用する原液タイプと、あらかじめ濃度調整されていて、そのまま使用できるものがあります。濃度が適正でないと十分に性能が発揮されないので、ラジエターに入れる前に確認が必要です。